『私を連れて行ってください』

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Kさんは60代の方で病院に入院しています。

「私を喫茶店に連れて行ってください」という依頼がありました。

食事も水分もほとんど喉を通らなくなっています。

吐き気もあり、食事に関係なく吐いてしまいます。

匂いにも敏感で吐いてしまいます。


『喫茶店』と聞き、一瞬、耳を疑いました。


でも、どうしても『喫茶店』に行きたいというのです。


その日は、日中の暖かな日でした。

民間救急車に乗り、『喫茶店』へ行きました。


Kさんは、大のコーヒー好きです。

コーヒーの香り漂う喫茶店が好きなのです。


今では珍しい、小さな小さな喫茶店です。

ドアを開けるとコーヒーの香りが漂ってきます。

コーヒー好きには懐かしい、喫茶店の香りです。


Kさんは、大好きなブルーマウンテンのコーヒーを注文しました。

奥様も。

Kさんは香りを存分に楽しんでいました。

吐き気などなんのその。

そして、チョットだけ口にしました。

とても、満足した様子です。


『こんな状態で喫茶店に来れるなんて思わなかった。

誰もが無茶だし無理だと言っていた。

でも、こうして来ることができました。ありがとう・・・』と。

Kさんの目に涙が。

奥様の目にも涙が。


Kさんは30数年前からそこの喫茶店でブルーマウンテンを飲む。

それが一番の楽しみだったというのです。

体調が悪くなってからは、この喫茶店を訪れていません。

もちろん入院してからも。

2年ぶりの喫茶店でした。


カフェでコーヒーを飲むたびに、

カフェではなく喫茶店でコーヒーが飲みたいと思っていたそうです。


現在、Kさんはほとんど何も飲めず、食べることもできません。

しかし、喫茶店のコーヒーの香りだけでも味わいたい。

それが今回の外出でした。

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