認知症の接し方

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認知症の方への接し方

介護する方が認知症は病気であるということをしっかりと理解することが重要です。認知症の方は自分が誰かわからなくなくなること、記憶が失われていくことにとても「不安」を感じています。認知症の方の行動には「意味」があります。騒いだり、徘徊したりするのはなぜなのか、その方の価値観や歩んで来られた人生を考えて接してみましょう。脳の障害によって、表現の仕方や行動にズレが生じているのです。否定せずに、「受け入れる」ことが大切です。 ・ 自尊心を尊重する ・ 話しをよく聞く、同じ話しでも真剣に聞く ・ 本人の意志を尊重する ・ 認知症の方のペースに合わせる ・ 間違いであっても受け入れ怒らない ・ 納得できるように話す ・ 声掛けを多くする ・ 不安にさせない


認知症の方の気持ち・感情の動き
認知症になると記憶力や理解力は低下しますが、一度にすべてのことができなくなるわけではありません。
・ 物忘れや失敗が多くなると「もしかしたらボケたのでは?」と自分自身が落ち込み不安になり精神的に不安定になります。
・ 認知症では最近の記憶に連続性がなくなるので、過去と現実の区別がつかなくなっています。自分でしたことでも思い出せなくなり混乱してしまいます。
・ 感情の抑制がきかなくなり、怒ったり泣き出したりすることがあります。
・ 介護する方が強い口調で話すと、相手の感情に反応しさらに興奮します。
・ 相手の言葉は分かっていても、言われたことが理解できなくて混乱し、言葉のやり取りができないことをもどかしく思っています。
・ 認知症の方は感受性が豊かです。不快なときだけでなく嬉しい時、感動した時にも感情を素直に表現します。


症状による対応事例(十人十色・百人百色・対応の仕方はそれぞれ違います)
財布が盗まれたと言う(妄想)
 自分の置き忘れを「なくした」でなく「盗られた」と言い張る場合がよくあります。介護者が「あんたが盗んだ」と言われれば傷つきます。「どこかにしまい忘れたのでしょ。」「私が盗るわけないでしょ。」「ちゃんと探したのですか?」
などと、興奮して言い返したくなりますが否定するのは逆効果となり妄想を増強させます。なくしてしまった方自身がいちばん困っているのだと受け止めましょう。黙って聞き肯定も否定もせずに「なくなったのですか。大変ですね。」などと言い一緒に探しあげたり、飲み物やお菓子で一服させて関心をそらしたりしましょう。
「嫁がご飯を食べさせてくれない」などと回りに言いふらすことがあります。これは孤独感・寂しさから生じることがあります。「そうなのですか」と話を聞き、話し相手になってあげることもよいでしょう。


食事をしたのに「食べていない」と言う
食事をしたばかりなのに「食べていない」と言って何度も食べたがることがよくあります。これは食べたことを忘れてしまうのか、または脳の満腹中枢が侵されて食べることで欲求不満を解消しようとして起こるものです。
食事をしたのに「食べていない」と言って要求したのに「いま食べたでしょ」「さっき食べたでしょう」と言われても本人は納得できないのです。「これから用意するところだから」と答えたり、「○時になったら食事だから」と食事の時間を言ってあげましょう。それでも欲しがる場合は軽いおやつを少量ずつ渡して食べることの満足感を満たしてあげることも大切です。


家に帰りたいと言う(夕方症候群)
 自分のいる場所がわからなくなり、夕方になると落ち着かなくなり「家に帰る」と言い出すことがよくあります。認知症の方にとって夕暮れ時は不安感が増すのでしょう。「帰って夕飯の支度をしなければ」など、昔の生活へ戻りたいという願望から生じることもあります。「ここが家でしょ」と怒るのではなく「お茶を飲んでから帰りましょうか」とか「後で送って行きますから待っていて下さい」と言って落ち着かせます。一緒に散歩に出かけ家の周りを歩いてくるのも良い方法です。


家族の名前を間違える
家族の名前を間違えたり、息子や娘がわからなくなり「どちらさまですか?」というようなことがあります。家族はショックのあまり「違うでしょ。息子の○○だよ。」「何言ってるの?しっかりして!」などときつく言い返してしまいますす。きつく言い返されると『解からなくなってしまった』ということで落ち込んでしまいます。「違いますよ。息子の○○です。」とやさしく話しかけて気持ちが安定するようにしてください。


ないものが見える・聞こえる(幻覚)
虫はいないのに「壁に虫が這っている」「女の子がいる」などと言って追い払おうとしたり、気味悪がったりすることがあります。「虫なんているわけないでしょ」「そんなもの見えるわけないでしょ」と否定すれば「自分はボケた」とショックを受けたり、今見えているものを「いない」と言われて混乱してしまいます。ないものが見えて、不安がっているのだという気持ちを受け止めて理解しようという姿勢が大切です。これらの視覚性の認知障害は暗くなると現れやすくなります。部屋を明るくして身体に触る(手を握ったり、肩に触れたり)などして安心させるのもよい方法です。「もう大丈夫ですよ、薬をまきましたから」「女の子は帰りましたから、もう安心ですよ」と話のつじつまを合わせたり、追い払う格好をしたりして安心させてあげることも大切です。


当てもなく歩き回る(徘徊)
当てもなく歩き回っているように見えますが、本人には何らかの目的があります。夜になるとアチコチ歩き回っている方が「泥棒がくる」「火事になる」などと言うことがあります。不安なことを聞き否定せずに「戸締りは終わりましたよ」「ガスの元栓や火の始末はしましたよ」と安心させると徘徊をしなくなったということもあります。動き回りたい・外出したいという気持ちを押さえると逆効果になり落ち着かなくなります。ご家族にとっては事故に遭うのではないか・行方不明になるのでは、という不安が大きいと思います。外出したい気持ちを受けとめて「後で一緒に行きましょう」と一緒に出かけたり、行方がわからなくなった時のために連絡先を書いた名札をつけておいたりしましょう。


何でも集める
認知症の方は、他人の目に触れないところに物を大事にしまい込むことがあります。同じ物を何個も集めたりゴミを拾ってきたりします。他人にはゴミに思える物でも集めている本人には意味がある物なのです。「汚いでしょ」「これはゴミでしょ」「汚いから捨てて」などと言わずにそっとしておきましょう。不衛生な物や腐ってしまう物は、本人が気づかない時に早めにそっと捨てましょう。


異物を食べる(異食)
身の回りにある物を何でも食べてしまうのは、食べられる物と食べられない物の区別がつかない、味覚の働きが低下している、満腹中枢が侵されているなどが考えられます。口にしては危険な物を身の回りに置かないようにしましょう。気がついたら別のもの、例えばアメやお菓子などを差し出すと口にしたものを出してくれます。


認知症の方を介護する方へ
・ 頑張らないでください。
・ 介護する方の精神的なストレスを少なくすることが大切です。
・ 一人で抱え込まずに家族や親類や近所の方に協力を頼んでください。
・ いろいろな施設・サービスを上手に利用しましょう。
・ 気軽に相談できる人をもちましょう。

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